婦人科
卵巣は、左右に1つずつある親指の先ぐらいの小さな臓器ですが、たくさんの種類の腫瘍ができる臓器です。
気をつけねばならないのが、「自覚症状がないことが多い」こと。
腫瘍ができていても、御自身では気付かないことがほとんどなんです!
ですから検診が大切。
超音波検査で、定期的にチェックをお受けになることをお勧めします。
細長い機械を腟の中に入れるだけ、痛みはほとんどありません。
さらに詳しい情報が得られるのがMRI。
大きな機械の中に入って、体の断層像(輪切り像)を撮影するもので、卵巣腫瘍の診断には欠かせない検査です。
狭いところでじっとしていなければなりませんが、痛みはありません。
当院では検査できませんので、他の病院(西宮市立中央病院等)にお願いして撮影して頂いております。
次に、若い人に多く見られる卵巣腫瘍について説明します。
若い人に最も多く見られる良性腫瘍。中に油や髪の毛等が入っているという奇妙な腫瘍ですが、これが結構多いんです。
必ず手術して摘出しなければならないことはありませんが、痛みを起こしている原因になっていたり、ねじれてきつい痛みを起こすこと(茎捻転)が心配だと感じるとき、悪性の可能性を否定できない場合は手術を考えます。
腹腔鏡下手術が可能なことが多く(必ずできるとは限らず開腹手術となることもあります)、これなら1週間前後の入院で済むことも多いです。
お薬でなくすことはできません。
できる原因もはっきりしておらず、予防法も今のところありません。定期的に超音波検査をお受けになられるのがよいと思います。
子宮内膜症による変化が卵巣に起こり、古い血液がチョコレート様となり卵巣に溜まるものです。
これが卵巣にあるのみでは、自覚症状が出ることは少ないですが、周囲に癒着を起こすと痛みの原因となります。
また、これのみでは不妊の原因にはならないと考えられていますが、他にも、子宮内膜症の変化があれば(特に卵管に癒着等の変化が及ぶと)、妊娠を妨げる原因になる可能性があります。
これも良性ですから、必ず取らねばならないことはありませんが、痛みが高度であったり、長い間妊娠しないとき、悪性の可能性が考えられる場合には手術を考えます。
また、40歳以上で直径7cm以上のものは、悪性に変わる可能性がやや高いとのデータがあり要注意です。